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地べたブランケット

コケや花や昆虫など、興味をおぼえたものをいろいろ

刀を研ぐおはなし

「刀剣武具講座 一流研師による研磨工程の解説と実演」

講師:阿部一紀・本阿彌雅夫・小野敬博・森井鐵太郞・阿部聡一郎(敬称略)

場所:新江戸川公園 松聲閣

日時:9月19日 14時~16時

 

永青文庫の「歌仙兼定登場」及び、文京区の「刀剣乱舞-ONLINE-」コラボの流れで刀剣武具講座。今しかない…! の、勢いで参加してきました研磨のお話。

研ぎどころか、日本刀にはまったくくわしくない。それどころか実のところ、こわくって展示はなるべく早足で過ぎるようにしていて。なにしろ刀、斬れる刃物、台所の包丁でさえどっきどきしながらふるっているのに、受け継がれてきたこのアイテム、実力も実績もあるよーー!!! 

「歌仙兼定」の由来から言えば、手打ちにしたよ…! 家臣36人ほど! からついた名だよ…! ちょう実績つんでる。

この "こわい” は、あれど。……研ぎって?

【 解説 】

会場にあった、おしがた。f:id:sousion:20160921215500j:plain

刃文(はもん)は鉛筆で写し取ったりも。

おし‐がた【押形・押型】
刀剣に薄い和紙をあて、釣鐘墨で紙の上から刀の輪郭、茎(なかご)の銘、切先の形状などを写し、ついで刃文などをうす墨で書き入れた絵図。 ※広辞苑第六版より。

刀剣の世界においては、「おしがた」が世界でも共通語。

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日本刀に使われている金属について。いちばんはじめに見つかった金属は「銅」で、2500年ほど前、日本ではすぐに鉄が入ってきたため青銅器の時代が短い。

「鉄」は高い温度が必要。

「鋼」は、きたえた鉄。うんと焼きが入ってしまったものは炭素量が多い。鉄瓶などに用いる。叩いて使う道具は炭素量が低い。

日本刀は切れれば良い、というわけではなく、曲がらない、という剛性が必要。

 

f:id:sousion:20160921224113j:plain※スライドの写真を撮りそこねたため、うろ覚えスケッチにて。

日本刀のつくり、というのは時代、流派などでも違い、古い時代はかたい鋼のみも多い。鋼のみだと研ぐことがむずかしく、また古いものだと研ぎで、しんがねが出てきてしまうこともある。

ところでこの研ぎ、どれくらいの期間で行ったほうがよいか。たとえば国宝級の日本刀の場合、ちょっとでもさびがでたら、研いでいる。

鉄のさびは中へ通っていくので、こりゃだめだろう! といった感じの、赤さびに満ち満ちていても、それが10年か、30年、そういった日数の違いで、研いだときに姿を取り出せるかどうかの違いになる。

ちなみに、一寸一万円前後が研ぎのおねだん。

【 工程※鍛冶屋さんから渡された新刀 】

○下地研ぎ

 1. 刀身の整形

 2. 運び研ぎ

    1 と 2 は、全体に砥石をかけ、細くしていく。けずる。

   3. 内曇(うちぐもり)

   内曇は砥石の名前。何億年かかけ海底に堆積したもの。

  (プレートの移動で、陸地になり)顕微鏡などで放散虫が確認できる。

   内曇はいちばん上の層。天然砥石は現在希少。

   この工程は刃文をだしたりと、はじめの2工程とは意味合いが違う。

 

○仕上げ研ぎ

 4. 地艶(じづや)----- 1ミリ角ほどの砥石を指につけて擦る。

 5. 拭い ----- 酸化鉄の粉を脱脂綿で擦る。

 6. 刃取り

   刃文を描くように、鹿の角粉を塗る。(流派によっては行わない)

 7. 磨き

   イボタ蝋の粉ですべりを良くし、磨き棒で擦る。

   このイボタ蝋はイボタカイガラムシのロウを集めたもの。

   封を切ったばかりのかたまりは、独特の匂い。

 8. 切っ先の横手筋切り&ナルメ

 

 研ぐ、ことによって、かねが映えて見えたり、色がよく見えたり。

鍛冶屋さんの刃文のイメージを補強したりしている。

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f:id:sousion:20160921233142j:plain砥石いろいろ。内曇り刃砥のつるつるっすべすべったら良かった。

【 実演 】

 下地研ぎをしているところ。f:id:sousion:20160921233422j:plain

f:id:sousion:20160921233452j:plainこの工程は一日ずっと、ひたすら研ぐ。

仕上げ研ぎ(地艶)f:id:sousion:20160921233730j:plain砥石を割ってつくった破片を使う。小指で隠せそうな大きさ。

仕上げ研ぎ(拭い)f:id:sousion:20160921234418j:plain

f:id:sousion:20160921234836j:plain丁子油を酸化鉄の粉をまぶしてからめとる。丁子油はさび防止のためのもの。

f:id:sousion:20160921235144j:plainとぎづか、をつける。全面研ぎやすくするため。

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f:id:sousion:20160921235527j:plain砥石。茶色は割れないように和紙を貼りつけている。貼らないこともある。

f:id:sousion:20160921235732j:plain先ほどのものより厚め。愛宕山のすそのほうでとれたもの。研ぎの段階に合わせて、かためで細かいもので研ぐ。

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f:id:sousion:20160922000353j:plainイボタ蝋をまぶして滑りをよくしてから、磨き棒をあてているところ。

磨かれている刀は、直刃でたぶん小太刀。磨かれていくごとに、鏡のようにぴかぴかっとしていく。とても静か。ほどよい砥汁の色で加減を見極める。白いのは砥石が減っているのでよくない。

 

あたらしい刀、見せてもらって。

斬った実績がないから、でもあるけれど、それほどこわさはなくて。研ぐ、は切れ味びんびん鋭さ抜群になる話、というよりは、よりかっこいい。きれい。ほれぼれとする何かがおおきいのやも。と、思いつつ。

ちなみに、研いでて指が切れたりとかは…? の、問いに、ええ、切れます、今も切れてきましたね…! と返ってきて、刃物は、刃物だな…!!! って。

 

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刀剣乱舞の歌仙兼定パネル。研ぎの話を聞きながら、歌仙さんの話がぽろっと参加者のなかからこぼれるのも、また楽しいひとときでありました。